【特別号・第2回】 認知症をにんちしよう!

公開日時:2021.10.23カテゴリー:しらかわ通信

しらかわ通信 特別号・第1回に引き続き、「第2回 認知症は治る!?認知症と病気について」をお届けします。

2025年には、高齢者の5人に一人が認知症になると言われています。近い将来、もしかしたら家族が、もしかしたら自分が認知症になることが考えられる時代になってきています。みなさんは『認知症』についてどんなイメージをお持ちですか?今回は、認知症外来の藤井直樹先生(認知症専門医)に認知症についてお話を伺いましたのでご紹介していきます。少しでも認知症の事がみなさんに伝われば幸いです。

講師のご紹介

認知症外来:認知症専門医
藤井 直樹先生

趣味
鉄道の旅(特に鈍行列車)
ハイキング(特に九州自然歩道)
映画鑑賞、読書、写真、俳句

《第2回》認知症は治る!?認知症と病気について

認知症を引き起こす病気

認知症を引き起こす病気は70種類もあります。その中でも頻度の高い病気が以下の4つです。

  1. アルツハイマー型認知症 (全体の50~60%)
  2. レビー小体型認知症 (全体の20%)
  3. 血管性認知症 (全体の5~10%)
  4. 前頭側頭型認知症 (全体の5%)

治る認知症もある?

みなさん、治る認知症があると言うのはご存じですか?上記①~④のような病気であれば完全な回復は難しいのですが、中には以下の⑤~⑦のような病気の場合、早期に診断し、早期に治療開始ができると認知症の改善が期待できます。認知症の全部の患者さんのうち約5%の方がこれらの病気であるとされています。

⑤ 特発性正常圧水頭症
 大脳の中央に、脳脊髄液というきれいな液体がたまる側脳室という構造が誰にもあります(下図・左)。この側脳室に液体がたまりすぎて大きくなり(下図・右)、周囲の大脳を圧迫するようになると、認知症・歩行障害・尿失禁の症状が現れてきます。
 早期に発見できて、早期に治療(脳外科の先生にお願いしてたまった液体を外へ排出する手術をしてもらいます)ができると、これらの症状が改善されることが期待できます。ただし、診断が遅かったり、すでにアルツハイマー型認知症が発症している場合は、手術の効果は限定的となります。

⑥ 慢性硬膜下血腫

 頭部外傷後、頭蓋骨と大脳の表面の間にゆっくり出血してきて(右図の赤矢印にかこまれた部分)大脳を圧迫し、数週間して認知症のほか片麻痺、頭痛、嘔気・嘔吐、意識障害をきたしてきます。
 早期に発見でき、早期に治療(脳外科の先生に頭蓋骨に小さな穴をあけ、たまった血液を外へ吸い出してもらいます)ができれば、完治します。

⑦ 甲状腺機能低下症

 体内に甲状腺ホルモンが不足した状態となり、認知症が起こります。
早く診断がつき、不足したホルモンを薬として内服する治療が早く始まれば認知症が改善することが期待されます。

次回は、いよいよ最終回!《第3回 認知症外来へ行こう!》をご紹介します!お楽しみに!

→【特別号・第1回】 認知症をにんちしよう!はこちら

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