健康維持のために ‐健康増進としての運動- 第1回「ウォーキング」について
今回は本年11月から当院の非常勤医師として勤務いただいている整形外科専門医の「松瀬博夫 先生」に、健康の維持・増進のための運動の代表である「ウォーキング」についてお話して頂きます。
松瀬 博夫 先生
日本専門医機構認定 整形外科専門医
(運動器リハビリテーション医)
趣味:アウトドア、漫画
万歩計ってなんで万歩計っていうの、なぜなーぜ。
皆さん、誰でも簡単で気軽にできる運動としてまず思い浮かぶのは「ウォーキング」や「ストレッチ」ではないでしょうか?
その中でも「ウォーキング」をしている方々を毎日のように見かけます。そのような方々が使ってある万歩計。皆さんは「万歩計」をご存じでしょうか?では、なぜ「万歩計」というのでしょう?
その由来は1964年日本の研究者:波多野義郎氏が歩数計を利用した「1日1万歩運動」を提唱し、国内初・ウォーキングのための文部証認可の財団法人「日本万歩クラブ」を設立しました。それにちなんで日本の「山佐時計計器」より万歩メーターとして発売されたことに由来するそうです。(諸説あり)
1日1万歩って聞くけど、それってなぜなーぜ。
では本当に「1日1万歩」歩くことが本当に理想的なのでしょうか? 10分=1000歩として、10000歩 歩くには1時間40分歩く必要がありハードルが高くモチベーションが維持できずなかなか継続することが難しいと思います。また当時「1日1万歩」が推奨されていましたが、エビデンスはありませんでした。
しかし 皆さん、安心して下さい(笑)
アメリカで、1日の歩数が変形性膝関症の機能低下予防になるのか調査したところ、歩数が1000歩増加するごとに機能低下を予防できることが分かっています。つまり、まずは1日1000歩増やすことを目標にするだけでもいいのです。また歩きすぎると(1万歩以上)逆に膝腰痛が増加しますので、歩きすぎも注意が必要です。適切な歩数は週150分以上の身体活動が望ましいとガイドラインで提唱されています。
※標準的な身体活動(4900歩相当)な方は1日あたり2300歩相当をプラス=7000歩
程度が理想。 日頃、歩くことだけに約1時間費やすのは、なかなか難しいと思われます。日常生活での身体活動(家事や買い物、ストレッチなど)も含めた歩数でも十分に機能低下予防につながります。
WHOの調査によると、世界で成人の4人に1人(約27.5%)、青年の4人に3人(約81%)は身体活動の推奨事項を満たしていないことが明らかになりました。WHOは「世界中で運動不足が解消されることは、年間で最大500万人の死亡を防げる」と強調し、2018年に身体活動に関する世界行動計画(GAPPA)を発表しました。
健康の維持・増進のために、まずは1日2000~3000歩(20~30分)のウォーキングから初めてはいかがでしょうか?
次回は「高齢者に多い疾患、転倒リスクを予防するための運動」について、お話していただきたいと思いますのでご期待ください!