動脈硬化を予防しよう:第1回目

公開日時:2022.03.31カテゴリー:しらかわ通信

第1回目 脂質の種類と働きについて

 いよいよ4月から新しい年度が始まります!この時期に健康診断を受ける方は多いのではないでしょうか?健康診断に含まれる、採血検査の項目で比較的に多い「脂質異常症」。なぜ、血液中に脂質が多く存在するのか、血液中に脂質が多いと、どのような弊害が私たちの体に起こるのか、またこのような状態を回避するためにはどうしたらよいのか、医師の吉岡先生にお話を伺いましたので2回に分けてご紹介いたします!

吉岡 律子先生
 【専門】
 ・内科
 ・消化器内科
  内視鏡検査も行っています!
  (担当は月曜と金曜日です)

コレステロールが高いとどうなるの?

 健康診断で測定するのは、中性脂肪・LDLコレステロール・HDLコレステロールがほとんどだと思います。それぞれどんな違いがあるのかご紹介しますね。
まず、血液は水溶性なので脂質を血漿(血球成分を取り除いた血液)に溶け込ませるため、アポ蛋白というものと結合していて、これをリポ蛋白といいます。

 このリポ蛋白は、大きく分けると①カイロミクロン②VLDL③LDL④HDLなどにわかれます。それぞれ中性脂肪やコレステロール、アポ蛋白などが種々の割合で混じり合っています。

中性脂肪

中性脂肪はエネルギーを蓄える働きがあります。家庭科の授業で習ったと思いますが、炭水化物とたんぱく質は1gが4cal、脂肪は1gで9calです。つまり、同じカロリーでも、脂肪として蓄えておいた方が体積が小さくなって効率が良いのです。リポ蛋白では、カイロミクロンの85%を占めます。

LDLコレステロール

LDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを末梢組織に運ぶ働きをします。従来悪玉コレステロールと言われていたものです。末梢組織に運ばれたLDLは、血管内皮細胞が傷つくと損傷した部分から内皮細胞の下に潜り込み、ここで酸化されて変性LDLとなります。すると血液中のマクロファージ(異物を貧食する細胞)がやってきて変形LDLを取り込み、どろどろとした粥腫(プラーク)となり、血管壁に堆積し動脈硬化が進んでいきます。

HDHコレステロール

末梢組織のコレステロールを肝臓へ回収する働きをします。従来善玉コレステロールと言われていたものです。

コレステロールが高くても症状がないんだけど…

上記のようにLDLコレステロールは末梢血管で粥腫(プラーク)を作り血管壁に堆積していきます。血管が狭くなっても血液が流れていればほとんど症状はなく、血管が詰まって初めて症状が出ます。なので、『症状がないから大丈夫』ということにはなりません。しかも、粥腫で少しずつ狭くなって詰まるのではなく、粥腫は粥のように柔らかいので何らかの圧力がかかって破裂すると、そこに血小板や血液がくっつき血栓となり一気に詰まる事があります。これが心筋梗塞や脳梗塞なのです。


血管が詰まって破裂するなんて、考えるだけでも恐ろしいですね・・・(´;ω;`)。
私と同様に心配なさっている皆さま!朗報です!
次回は
 ・動脈硬化の程度が分かる検査はあるの?
 ・コレステロールは低ければ低いほどいいの?
 ・動脈硬化を予防するためには
 に、ついてご紹介していきます!おたのしみに!

病院玄関に咲いている桜です♪

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